今月の臨床 性感染症—胎児から癌まで
性感染症と産婦人科疾患
5.早産と上行性感染
竹田 省
1
1埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センター
pp.42-45
発行日 2001年1月10日
Published Date 2001/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904227
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はじめに
早産,未熟児出生は周産期における最大の問題であり,その予防は重要である.早産は種々の原因により起こるが,母体合併症,胎児発育遅延(IUGR),胎児仮死など人工早産によるものや頸管無力症,胎児や胎盤,羊水の異常,多胎などの疾患を除くと,主要な誘因は前期破水とも密接に関係のある絨毛羊膜炎である1).また12週以降22週未満の後期流産も,胎児異常,染色体異常,胎盤異常などを除くと,主な流産原因は絨毛羊膜炎であり,腟からの上行性感染である1).
従来は,STDや症状を伴う細菌性腟炎,トリコモナス腟炎,カンジダ腟炎,クラミジア頸管炎などが上行性感染の原因として治療の対象とされてきたが,近年,腟内の乳酸桿菌が減少し、嫌気性菌など他の細菌に置き換わった「細菌性腟症」と言われる病態が,この流早産の原因として注目されている.細菌性腟症(BV:bacterial vaginosis)は症状が乏しく見逃されやすく,その診断,治療の重要性が指摘されている2〜4).
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