今月の臨床 ART最新情報—妊娠率向上のために
凍結・胚移植・着床
6.免疫性不妊とART
柴原 浩章
1
,
高見澤 聡
1
,
山田 哲夫
1
,
佐藤 郁夫
1
1自治医科大学産科婦人科学教室
pp.1418-1424
発行日 2000年12月10日
Published Date 2000/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904210
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受精や着床にかかわる免疫因子の研究が盛んに行われている.中でも受精に関しては,in vitroにおける研究が比較的容易に行えるため,配偶子に対する免疫のかかわりについては分子レベルまでの知見が得られているものがある.一方で自己抗体と不妊治療あるいはIVFの成功率との関係に関しては論争があり1,2),これは着床期周辺がいわゆるブラックボックス内にあること,自己抗体による不妊症発生機序が明確でないことなどに起因する.にもかかわらず,習慣流産に対する治療を着床障害に臨床応用する機運が先行し,しかもその有用性に対する判定が明確でない現状に対しては,警鐘を唱える立場をとるものがある.
同様に免疫療法に関しても,免疫学的妊娠維持機構や免疫療法の作用機序がいまだ解明されておらず,習慣流産症例に対しても慎重な対応をとるべき現状である.その一方で,原因不明着床障害症例に対する免疫療法の有効性を唱える報告もある3).
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