今月の臨床 生殖内分泌と不妊診療の最新データ
不妊治療の問題点
3.ARTによる妊娠の予後
中村 幸雄
1
,
神野 正雄
1
,
小野寺 潤子
1
,
星合 敏久
1
,
菅原 新博
1
,
酒井 謙
1
,
尾崎 恒男
1
1杏林大学医学部産婦人科
pp.616-621
発行日 2000年4月10日
Published Date 2000/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904020
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ART(生殖補助技術)としては,体外受精(conventional IVF[通常IVF],微小媒精法によるIVFなど),顕微授精(ICSI,SUZI,PZDなど),GIFT,凍結胚移植,人工授精などがある,人工授精による妊娠が自然妊娠と変わらないことは,すでに多くの報告で示されている.また,最近1年間に日本でART(人工授精を除く)から生まれた児は,通常IVF:4,980入,ICSI:3,160人,凍結胚移植:902人,GIFT:65人,SUZI:1人などと,ほとんどが通常IVF,ICSIおよび凍結胚移植に由来している1).そこで本稿では,通常IVF,ICSIおよび凍結胚移植に由来する妊娠のみに焦点を絞ることとした.
また本稿では,妊娠の予後を,①妊娠の診断から出産までの転帰と,②出生した児のその後の発育・発達,の二つに分けて論ずることとした.①の出産までの転帰に関しては,日本国内2)および世界全体3)における調査集計報告が毎年から数年ごとに行われているので,それらをまとめて若干の考察を加えた.②の出生児の発育・発達に関しては,人種・社会の影響が大きく左右するため,日本国内の調査が有益と考えるが,全国的な統計は集められておらず,また過去の報告もあまり多くない.そこで当院の体外受精・顕微授精により妊娠し,出産した児の親にアンケート調査を直接行うこととした.
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