今月の臨床 妊婦の糖尿病マネジメント
疫学・定義
3.妊娠中の管理と児の長期予後
四倉 まり子
1
,
山口 規容子
1
1愛育病院小児科
pp.135-137
発行日 1996年2月10日
Published Date 1996/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902408
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
近年の糖尿病の治療,管理の進歩により,糖尿病合併妊娠の頻度は増加してきている.糖尿病母体出生児(infant of diabetic mother:IDM)には,奇形をはじめ,早期産児,子宮内発育遅延児,不当軽量児,不当重量児,新生児仮死,呼吸障害,低血糖,低カルシウム血症などさまざまな合併症が発生しやすいということは以前より知られているが,このうちの特徴的な新生児期合併症は,妊娠前,妊娠中の母体管理の向上ならびに新生児医療の進歩に伴い,その重症度や罹患率は軽減し,周産期死亡率も激減してきた1).
しかし一方で,これまで血管障害,腎障害などを合併して妊娠が不可能であった女性にも妊娠が可能となり,その結果,妊娠中毒症,子宮内発育遅延をはじめとした母体適応および児の適応による妊娠の中断から,未熟児や不当軽量児が出生し,児の神経学的後障害などの新たな問題が発生してきている.
Copyright © 1996, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.