今月の臨床 生殖内分泌と不妊診療の最新データ
不妊治療の問題点
2.多胎妊娠
菅沼 信彦
1
,
若原 靖典
2
,
小谷 美幸
2
1豊橋市民病院不妊センター
2豊橋市民病院産婦人科
pp.608-614
発行日 2000年4月10日
Published Date 2000/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904019
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わが国における多胎妊娠の発生頻度 近年の生殖医療,とくにassisted reproductive technology(ART)の発展により,多くの不妊患者が児を得ることが可能となった反面,医原性の多胎妊娠が増加している.厚生省の調査による日本の多胎妊娠率の年次推移1)では,三胎以上の多胎妊娠率は1970年代半ばまでは大きな変化はなかったが(図1),1975年に排卵誘発剤であるヒト閉経期ゴナドトロピンhuman menopausal gona—dotropin(hMG)製剤が国民健康保険に適用されて以降,多胎出産は増加しはじめた.さらに1983年にわが国初の体外受精児が出生して以来,体外受精—胚移植技術は急速に全国に広がり,数多くの施設で行われるようになった.その結果,急激に多胎出産,とくに三胎以上の超多胎が増加した.また双胎に関しても,1985年以降において同様に確実に増加しており,1984年と1993年の比較においては,双胎出産率で1.2倍,三胎で2.7倍,四胎で6.7倍,五胎で4.2倍に上昇している2)(表1).
分娩実数においても,三胎以上の妊娠は1950年代では出産100万対で約200組であったのに対し,1993年には約800組と,実に4倍に増加している.しかしながら,1994年以降の三胎の分娩数はほぼ横ばいから若干減少傾向で,四胎以上の分娩数は著明に減少している3)(図2).
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