今月の臨床 子宮内膜症の新しい治療戦略
がん化への対応
<ディベート>がん化という観点で内膜症は手術すべきか?
島田 宗昭
1
,
岩部 富夫
1
,
寺川 直樹
1
1鳥取大学医学部産科婦人科学教室
pp.148-151
発行日 2006年2月10日
Published Date 2006/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100026
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
子宮内膜症は生殖年齢女性の5~10%に発生する頻度の高い疾患である.本症は腹膜病変,卵巣病変および直腸腟中隔病変に大別されるが,このうち卵巣チョコレート嚢胞と上皮性卵巣癌との関連が指摘されている.子宮内膜症の治療歴を有する女性は卵巣癌の発生リスクが有意に高いことが報告されている1).
子宮内膜症の共存頻度は,上皮性卵巣癌の組織型により明らかに異なる.これまで報告された上皮性卵巣癌における子宮内膜症の共存頻度を表1に示す2).明細胞癌と類内膜腺癌は子宮内膜症の合併頻度が20~50%と高いこと,病理形態学的観点からも子宮内膜症との関連が報告されていることから3),子宮内膜症が特に明細胞癌と類内膜腺癌の発生母地となっている可能性が示唆される.
卵巣チョコレート嚢胞の管理においては,卵巣癌の合併や共存の可能性を念頭に置くことが必要である.その際に留意すべき事項として,画像診断による悪性所見の有無,年齢,血清CA125濃度および腫瘍径などが挙げられる.
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.