今月の臨床 女性診療科外来プラクティス
II 腫瘍外来
2. 良性疾患
3) 子宮内膜症,子宮腺筋症
岩部 富夫
1
,
原田 省
1
,
寺川 直樹
1
1鳥取大学医学部産科婦人科
pp.415-419
発行日 2006年4月10日
Published Date 2006/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100071
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1 はじめに
子宮内膜症とは,子宮内膜あるいはその類似組織が子宮外の骨盤内でエストロゲン依存性に発育・増殖する疾患である.本症は生殖年齢婦人のおよそ10%に存在し,月経痛と不妊を主症状とする.子宮内膜症の発生病因としては,卵管を逆流した月経血中に含まれる内膜細胞が腹膜に移植したのち増殖するという移植説と,腹膜が腹腔内貯留液の刺激によって化生を起こすという化生説が有力である.いずれにしても,月経血の逆流がキーファクターになるものと考えられている.
子宮内膜症は,腹腔鏡検査あるいは開腹手術による肉眼所見によって確定診断される.しかしながら,日常臨床において,すべての症例に腹腔鏡検査が施行されるわけではない.直視下の診断が行われず,自他覚所見から総合的に診断された場合は「臨床子宮内膜症」として取り扱う.本症に特有の症状や診察所見から,卵巣腫大や癒着を伴った進行子宮内膜症を診断することは比較的容易である.臨床子宮内膜症の正診率はおよそ80%といわれている.一方,子宮腺筋症は,子宮筋層内に異所性子宮内膜組織を認める場合に用いる疾患名であり,広義の子宮内膜症に属する.従来は,骨盤内内膜症が外性子宮内膜症と呼ばれていたのに対して,腺筋症は内性子宮内膜症と呼称されていたが,現在では独立した疾患名として用いられている.
本稿では,外来診察で必要な検査・診断法について子宮内膜症と子宮腺筋症に分けて概説する.
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