今月の臨床 子宮内膜症治療の最前線―症状に応じた治療戦略
子宮内膜症治療薬の将来展望
岩部 富夫
1
,
原田 省
1
1鳥取大学医学部生殖機能医学
pp.1474-1477
発行日 2008年11月10日
Published Date 2008/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101906
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はじめに
子宮内膜症は生殖年齢女性のおよそ10%に発生し,月経痛と不妊を惹き起こし,quality of lifeを著しく損なう疾患である.本症の発生・病因に対して多くの研究がなされてきたが,いまだ明らかとなっていない.本症は卵巣ホルモンであるエストロゲンに依存して発生・増殖することから,本症に対する薬物療法としては血中エストロゲンレベルの低下とエストロゲン作用の拮抗を目的としてホルモン療法が行われてきた.これまで,子宮内膜症治療薬としてダナゾールとGnRHアゴニスト製剤(GnRHa)が主に使用されてきた.しかしながら,これら治療薬使用の期間が6か月以内と限定されており,治療中の副作用の発現や治療後の症状の再発が問題であった.
最近になり,子宮内膜症に対して第4世代のプロゲスチンであるディナゲスト®が発売され,さらに子宮内膜症の疼痛症状には一相性低用量ピルと同じ成分であるルナベル®も使用できるようになった.一方,避妊目的での使用が認められているレボノルゲストレル付加intrauterine systemであるミレーナ®は,欧州では子宮腺筋症などに適応が認められている.これらの薬剤は,長期間の使用が可能であり,今後は症例に応じた治療薬の選択が迫られるものと思われる.本稿においては,国内では未承認であるが,将来は子宮内膜症治療薬となる可能性のあるほかの薬剤について述べる.
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