今月の臨床 生殖内分泌と不妊診療の最新データ
不妊の原因と検査
5.子宮因子
久保田 俊郎
1
1東京医科歯科大学医学部産科婦人科
pp.518-524
発行日 2000年4月10日
Published Date 2000/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904005
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
女性不妊の原因は,大別すると内分泌因子,卵管因子,子宮因子からなり,これらが重複している症例も少なくない.そのなかで子宮因子は他の二つの因子に比しその頻度が少ないため,日常診療では見過ごされやすく,原因不明の不妊症のなかでも実際は子宮因子であった症例もときどき見受けられる.妊孕性に影響を及ぼすと考えられる子宮の異常としては,先天的な子宮形成異常,子宮腔内における器質的疾患,子宮内膜の発育不全や炎症などで,広範囲に考えれば子宮頸部の器質的疾患や炎症もこれに含まれる.子宮内の異常が妊娠の障害になるのは,主として受精卵の着床障害が原因である.また,子宮腔内の筋腫やポリープのために卵管の子宮開口部が閉鎖されていたり,頸管に異常があって精子が子宮腔内に進入できないことも不妊の原因となる.
本稿では,不妊症の原因となり得る子宮内腔および子宮頸管の異常について,最近のデータも加えて解説したい.
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.