今月の臨床 新生児外科の最前線—産科医としての必須知識
外科治療の現況と産科医へのアドバイス
1.頭部神経系疾患
2)二分頭蓋と新生児脳腫瘍
山内 康雄
1
,
稲垣 隆介
1
1関西医科大学脳神経外科
pp.240-243
発行日 2000年3月10日
Published Date 2000/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903954
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二分頭蓋
疾患について
発生機序はよくわかっておらず,神経管の閉鎖不全による可能性も否定できないが,神経系を覆う中胚葉組織の発育異常によるものと考えられる.正中部にみられる頭蓋骨の部分欠損であり,頭蓋内容物の脱出がないものを潜在性二分頭蓋という.先天性皮膚洞や腫瘍(類上皮腫・上皮腫・脂肪腫など)を合併することがある.これに対して頭蓋内容物が脱出しているものを嚢胞性二分頭蓋という.脱出物が髄膜のみであるもの(髄膜瘤)(図1)と脳実質も含まれているもの(脳瘤)(図2)に二大別される.
生存出生児3,000〜12,000人に1人の割合でみられ,後頭正中部に好発する(80〜90%).後頭部のものは女児に多く(80%),他の部位では男児に多い(60%1,2)).前頭蓋底部に発生したものは外からはみえないが,出生時からみられる脈拍や呼吸に同期して拍動する鼻腔内腫瘤と後鼻腔閉塞,髄液鼻漏や繰り返す髄膜炎が診断の要点であり,また離眼症,正中唇裂,口蓋裂などの顔面異常を合併することが多い3).
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