私のくふう
二分するアルブミン
大林 弘幸
1
,
松村 義寛
1静岡県立中央病院・検査科
pp.474
発行日 1966年5月15日
Published Date 1966/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917040
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夕方,サイレンの音と共に救急車で農薬中毒(有機燐剤)で運ばれてきた患者がありました。至急に検査ということになり,まずコリンエステラーゼ,他に肝機能検査の申込みが検体と共に検査室に回ってきました。当院ではセルローズアセテート膜泳動を使用しておりますので,さっそく泳動したところ,アルブミンが二分します。これは失敗と,再度泳動しましたところまた二分します。今日は失敗続きで腕が「おかしい」のではないかと思い,翌日にルーチンの検査と一緒に泳動しましたところ,やはり二分します。そこでこの血清蛋白は完全に二つに分離するアルブミン(α,β)により形成されているらしいことが判明しました。
同時に施行した生化学検査は表のごとくです。なお当院では約1年間セルローズアセテート膜泳動を実施しておりますが,アルブミンが完全に二分した例は皆無ですし,めずらしい症例といえます,念のために濾紙泳動を実施してみますと,一つのアルブミンとして泳動され,セルローズアセテート膜泳動の分離の良いことに驚嘆しました。
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