今月の臨床 新生児外科の最前線—産科医としての必須知識
外科治療の現況と産科医へのアドバイス
1.頭部神経系疾患
1)水頭症
夫 敬憲
1
1国立療養所香川小児病院脳神経外科
pp.236-238
発行日 2000年3月10日
Published Date 2000/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903953
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外科治療の現況
1.未熟児脳室内出血後水頭症
水頭症の治療は脳室—腹腔短絡術(VP shunt)が一般的であるが,低体重児の場合は皮膚壊死,髄液漏,腸炎,シャント感染などを合併しやすく体重の増加を待って短絡術を行う傾向にある.いったん水頭症の状態を認めた場合,あるいはPappile III度,IV度の脳室内出血を認めた場合はまずは反復腰椎穿刺を行い,髄液排除により脳圧のコントロールに努める.しかし,これで水頭症の改善を認めるほどの有効な髄液排除が行えることは少ない.より確実な髄液排除の方法として従来脳室ドレナージが行われてきたが,管理が煩雑,感染症の危険性が高いなどの理由で頭皮下CSFreservoirに取って代わりつつある.
最近,脳室カテーテルとreservoirが一体型になった極小モデルが製品化されている.27Gの翼状針にてreservoirを穿刺することによって,十分な髄液排除が可能である.髄液排除量は個体差が大きく,体重は目安にならない.大泉門を触診することでたいていの排除量は決められるが,超音波検査で脳室拡大の進行を止めることが最大の目標である.大量の髄液排除を必要とする場合,電解質異常(とくに低Na血症),低タンパク血症に注意を要する.この手技によって,水頭症状態から離脱できる症例も認められる.患児の体重が2,000 gから2,500gに達した時点でVP shuntを行う.
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