今月の臨床 ホルモン療法のピットフォール—あなたの方法は間違っていませんか
不妊治療
5.PCOSへのゴナドトロピン療法は
髙橋 健太郎
1
,
岡田 正子
1
,
宮﨑 康二
1
1島根医科大学医学部産科婦人科
pp.146-149
発行日 2000年2月10日
Published Date 2000/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903924
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
多嚢胞性卵巣症候群(polycystic ovary syn—drome:PCOS)に対する排卵誘発は薬物療法として内因性のゴナドトロピン(Gn)分泌を促すクロミフェン(CL)療法と外因性Gn療法があり,外科治療としては古典的な開腹卵巣楔状切除術があるが,術後の卵管性癒着の問題があり,近年では腹腔鏡下手術療法が行われている.日常の診療においては,CL療法が第一選択とされているが,CL無効なPCOSが多いのも事実であり,Gn療法が安易に選択されている.しかし,PCOSでは卵胞発育のコントロールが難しく,重篤な卵巣過剰刺激症候群(ovarian hyperstimulation syn—drome:OHSS)や多胎妊娠がしばしば起こり,これらの副作用防止がPCOSのGn療法で最も重要な課題である.
今回はPCOS症例にGn療法を行い,OHSSと多胎妊娠をきたした実例を基にPCOSのGn療法の問題点と適切な治療法について解説する.
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.