今月の臨床 産褥の異常と対策
精神疾患
3.「関係性障害」という視点から
橋本 洋子
1
1聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院周産期センター
pp.1488-1491
発行日 1999年12月10日
Published Date 1999/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903861
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関係性障害とは
赤ちゃんが生まれ育つとき,親は親として生まれ育ち,同時に親と子の関係性も発達していく.親と子の関係性が育まれていく過程は,誰に教えられることもない互いに引き出し合う自然のプロセスである1).この関係性の発達過程が滞ったり歪んだり,親と子の相互作用に悪循環が生じるときなどに,関係性障害をきたすことがある2).
早期の関係性障害は,臨床的観察によって滑らかな相互作用が行われていない状態と把握できることが多い.子どもの行動に対する親の読み取りが否定的なものに傾いて容易に修復しなかったり,親の主観的な訴えとして「子どもを可愛いと思えない」と述べられたりする場合もある.あるいは子どもが抱かれてもなだまらないとか,目が合わないなどの行動特徴を示したり,摂食や排泄の問題としてあらわれることもある.いずれの場合も,親が原因か子どもが原因かなどと考えるのではなく,関係性の障害としてとらえ,予防や治療を行うことが有用である.
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