Japanese
English
試論
解離性障害における離隔について―「2つの私」の視点
Dissociative Detachment and Dual Self
柴山 雅俊
1
Masatoshi SHIBAYAMA
1
1東京大学医学部精神神経科
1Department of Neuropsychiatry University of Tokyo
キーワード:
Dissociative detachment
,
Dissociative disorders
,
Depersonalization
,
Gaze
,
Detachment spectrum
Keyword:
Dissociative detachment
,
Dissociative disorders
,
Depersonalization
,
Gaze
,
Detachment spectrum
pp.73-79
発行日 2006年1月15日
Published Date 2006/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100191
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はじめに
我々の最近の経験でも離人症状は,解離性障害と診断された症例42例中39例(92.9%)に確認され,解離症状としては高頻度にみられる症状である。DSM-Ⅳでは離人症性障害を「自分の心的過程あるいは身体から離隔して(detached),あたかも自分が外部の傍観者であるかのように感じている持続的または反復的な体験」2)としている。本論文ではこの離隔,すなわち解離性離隔dissociative detachment4)を取り上げる。
近年,解離の多彩な症候を連続体としてとらえるのではなく,2つに分ける立場がみられるようになった。Brown3)は解離を1型と2型に分け,前者に解離性健忘,解離性遁走,解離性同一性障害などを含め,後者に離人・疎隔症状,体外離脱体験を含めている。Allen1)もほぼ同様の分類を行い,区画化compartmentalizationと離隔detachmentに分けている。区画化は心的組織の切り離しに重点がおかれるのに対し,離隔は意識変容的色彩をときに伴い,自己感,身体,外界などの体験にまつわる分離感を特徴とする。
本論文では解離性離隔を中心に取り上げ,その病態構造について考察する。さらに解離の意識構造についての考察とともに,離隔と周辺症状との関連性についても言及する。参考のため提示する2症例は,解離性障害としては一般的な症例である。
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