今月の臨床 卵巣がんと闘うために
治療
2.外科療法 2)妊孕性温存手術
西川 香苗
1
,
古堅 善亮
1
,
桑原 慶紀
1
1順天堂大学医学部産婦人科
pp.816-817
発行日 1999年6月10日
Published Date 1999/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903686
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卵巣癌は,予後不良の疾患として知られているが,近年罹患率が増加し,死亡数もこの40年間に10倍となり,人口10万対の死亡率も1994年には6.1となった1).このように予後不良の疾患であっても進行期別に5年生存率をみると,Ⅰ期では70%以上であり,とくに片側の卵巣に癌が限局したⅠa期では80%をこえている.
卵巣癌手術の基本は,進行期にかかわらず,一般的には子宮単純摘出術,両側付属器切除術,大網切除術,リンパ節郭清術(骨盤内〜傍大動脈)を施行している施設が多い.しかし,近年cis—platin (CDDP)の導入や手術療法の進歩により,卵巣癌の予後が改善したこと,quality of lifeをよく保つことやinformed consentを得ることの重要性が認識されたことなどのために,若年者および生殖期の卵巣癌患者に子宮および健側卵巣を温存する希望が増加してきた.
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