今月の臨床 HRT—ベストテクニック
HRTの副作用と対策
4.乳癌の発生
寺田 督
1
,
打出 喜義
1
1金沢大学医学部産科婦人科
pp.1396-1399
発行日 1998年11月10日
Published Date 1998/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903457
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高齢化社会を迎え,閉経後の期間が長くなった.その結果,閉経後の卵巣機能消失に関連した疾患に対して,長期間のホルモン補充療法(HRT)の必要性が生じてきた.また若年者の卵巣摘出術および放射線治療後に発生する卵巣欠落症に対しても長期間のHRTが必要となる.更年期障害に対する治療を目的とする場合には,HRTは対症療法として短期間の投与ですむが,閉経後女性のQOLの維持や改善を目的とした場合には,予防医学の立場から長期間HRTとなる.
このように,HRTを予防治療として使用する場合には,副作用が当然問題となる.この副作用のなかでも,閉経後は乳癌の好発年齢期であり,HRTと乳癌との関連が重要な課題として取り上げられる.HRTはestrogenを含んでいる.estrogenには乳腺細胞に対して増殖作用がある.乳癌はestrogen依存性に増殖することはよく知られており,HRTが乳癌発生につながる可能性を有している.それゆえ,HRTにより乳癌が増加するか否かは重要な問題となる.
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