今月の臨床 難治性細菌感染症
産科の難治性感染症
7.妊婦のリステリア感染症
竹田 善治
1
,
坂井 昌人
1
,
岡井 崇
1
1総合母子保健センター愛育病院産婦人科
pp.954-955
発行日 1998年7月10日
Published Date 1998/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903343
- 有料閲覧
- 文献概要
リステリア感染症はグラム陽性短桿菌であるリステリア菌(Listeria monocytogenes)による感染症である.妊婦における本疾患の特徴は,症状が発熱,感冒様症状など比較的軽微で,非特異的であるにもかかわらず,児に対しては流早産や子宮内胎児死亡,早期新生児死亡など重篤な合併症を起こすことである.症状に乏しい感染母体から胎児に経胎盤感染を起こすため,妊娠中の診断が困難であることや,胎児への感染後の経過が非常に急速であることが児の予後を不良にしている要因である.このため本症の迅速な診断・治療が望まれるが,現在のところ母体血や羊水培養などから直接リステリア菌を証明する以外に診断を確定する一般的な検査法はない.
本稿ではリステリア症の早期診断のための手がかりとなる症状,検査上の特徴および治療などについて述べる.
Copyright © 1998, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.