臨床経験
妊婦における流行性耳下腺炎抗体保有率について
佐藤 賢一郎
1
,
水内 英充
2
,
野呂 歩
3
,
間 峡介
3
1新日鐵室蘭総合病院産婦人科
2みずうち産科婦人科
3新日鐵室蘭総合病院小児科
pp.1389-1391
発行日 2002年11月10日
Published Date 2002/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904786
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妊娠中の流行性耳下腺炎罹患により妊娠初期の流産の増加と,分娩周辺に罹患した場合の児への感染による重篤な呼吸障害,血小板減少,発熱などの合併症の可能性や,産褥期に脳髄膜炎を発症した報告例がある.流行性耳下腺炎の罹患に関しては20〜30%が不顕性感染とされるため,抗体保有状況を把握しておくことは有意義と考えられる.
今回,1996年10月3日〜1998年3月31日の期間に妊婦100例についてIgG抗体価(EIA法)によるムンプス抗体保有率を調査したところ,全体で92%の抗体保有率であった.また,年齢が高くなるにしたがってムンプス抗体保有率が低下する傾向が認められた.当院における流行性耳下腺炎の罹患率については,1996年2月1日〜2001年2月28日までの分娩数2,739件のうち,感染が明確であった症例が1例認められた.したがって,当院における妊娠中の流行性耳下腺炎罹患率は1/2,739件(0.037%)であった.
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