症例
妊婦イレウスの診断・治療について—自験例をもとに
佐藤 賢一郎
1
,
水内 英充
2
1新日鐵室蘭総合病院産婦人科
2みずうち産科婦人科
pp.445-449
発行日 1997年4月10日
Published Date 1997/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902908
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妊婦イレウスは比較的まれな合併症であるが,一般的に症状は重篤で,早期診断が困難かつ予後が不良であるため,診断・治療についての知識を習得しておくことは重要と考える.今回,妊婦イレウスの1症例を経験したので,本症例をもとに文献的考察を加え妊婦イレウスの診断・治療について検討した.症例は37歳,4妊2産,34歳時に子宮内膜症にて手術を施行している.
今回,24週0日で切迫早産,筋腫核変性および感染の疑いで入院管理中,突然嘔気・嘔吐,右側腹部痛が出現,イレウスと診断し,保存治療により軽快,以後経過良好であった.妊婦イレウスの診断は遅れがちであるが,イレウスという疾患を念頭におくこと,ハイリスク症例の認識,超音波法を有効に活用することが診断の要点と思われた.治療については,腸管の蠕動に対して抑制的に作用するβ2—stimulant投与の是非や胎児管理の問題もあり,問題が複雑であるため妊婦イレウスとしての独立した取り扱いの検討が必要ではないかと思われた.
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