連載 Estrogen Series・26
ホルモン補充療法と血中のリポ蛋白
矢沢 珪二郎
1
1ハワイ大学
pp.752-753
発行日 1998年5月10日
Published Date 1998/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903292
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ホルモン補充療法は動脈かゆ状硬化にどのような影響を与えるのであろうか? イタリアのミラノ大学の著者らは,24名の子宮摘出および両側卵巣摘出術を受けた(手術の適応以外には)健康な女性を対象に,まず術後の3か月間は血中リポ蛋白濃度のみを測定した.次いでホルモン補充療法(HRT)の開始を希望した19名のボランティア女性を対象にHRTを開始し,3,6,12か月後のリポ蛋白を調べた.
測定したリポ蛋白は総コレステロール,低密度リポ蛋白(LDL),高密度リポ蛋白(HDL),中性脂肪(triglycerides),リポ蛋白(a)などである.それ以外にFSHとLHを測定した.更年期後のリポ蛋白(a)=Lp(a)については,あまり多くが判明していない.ある研究によれば,Lp(a)は心筋梗塞,脳卒中,冠動脈バイパス手術後の狭窄などの独立した危険因子(risk factor)である1).Lp(a)の血中濃度は主として遺伝的に決定されるが,肝硬変で減少し,また腎不全や糖尿病で上昇することが知られている.さらにエストロゲンなどの性ホルモンによりLp(a)は著しく減少する2).
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