連載 Estrogen Series・17
肝臓障害とホルモン補充療法
矢沢 珪二郎
1
1ハワイ大学
pp.750-752
発行日 1997年7月10日
Published Date 1997/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902982
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肝臓障害にはホルモン補充療法(hormonereplacement therapy:HRT)は禁忌と言われている.英国の著者はこの問題に光りを当てて検討してみた.以下はその要旨と抄訳である.
肝臓障害をもつ女性に対するエストロゲンの使用は伝統的に避けられてきたが,その理由はおもに胆汁うっ滞(cholestasis)を理論的には発生または促進するからというものである.この理由を裏づける多くのデータは1960年代経口避妊薬(ピル)によるもので,その成分は合成エストロゲン製剤であるethinylestradiolである.この製剤はHRTとしても20年前から使用され,その使用は現在も増加している.ピルのときと同様,その使用は慢性肝臓障害の危険を伴うと正式に警告されていたが,実際にはHRTによる胆汁うっ滞の症例報告はおどろくほど少ない.また,HRTの治療的作用は肝臓障害患者に有利に働く可能性もある.著者はこの問題をもう一度検討してみた.
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