今月の臨床 早産対策—いま臨床医ができること
外来での対策—私はこうしている
4.前期破水疑診例の取り扱い・2
安水 洸彦
1
,
奈良 政敏
1
1山梨医科大学産婦人科
pp.696-697
発行日 1998年5月10日
Published Date 1998/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903274
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前期破水(premature rupture of the mem—branes:PROM)はすでに妊娠維持機構が破綻したことを意味する.したがって,切迫流早産例はむろんのこと,満期例においても前期破水例にはその発症時期に応じた適切な産科処置が必要となり,そのためには正確な破水の診断がきわめて重要である.一般的に妊娠後期の破水例,とくに低位破水例では相当量の羊水流出を伴うので,腟鏡診と超音波による残余羊水量測定から破水の診断はそれほど難しくはない.しかしながら,高位破水例,偽破水例や妊娠中期の破水例などでは診断に苦慮することがしばしばある.
また逆に,たとえ各種検査の結果が「未破水」を示しても,破水感を訴えて来院した妊婦に対して未破水と断定することには,つねにいちまつの不安を覚えるものである.まして各種の検査結果がdiscrepancyを示す場合はなおさらであろう.とはいえ,すべての破水疑診例を入院管理としたり,子宮内感染を恐れて分娩を誘発するのは,明らかに誤りである.
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