今月の臨床 産科と凝固異常
産科診療と凝固異常
7.妊娠中毒症
山崎 峰夫
1
1奈良県立医科大学産科婦人科
pp.310-312
発行日 1998年3月10日
Published Date 1998/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903204
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妊娠中毒症,とくに重症型においては血小板減少や血液凝固線溶系の異常が起こりやすく,胎盤や腎をはじめとする種々の臓器ではフィブリン沈着が高頻度に観察される.本症患者には,症状として臓器機能の障害や出血症状がなくても凝固系の活性化やそれに伴う二次的な線溶亢進が認められるいわば代償性(慢性)DICといえる状態がしばしば成立している.このような場合は分娩その他を契機として急激な病態進行により症状が顕性化し,ときとして母体の生命が脅かされることもある.重症妊娠中毒症患者の管理においては,潜在する血液凝固線溶系異常について正しく診断し,適切に対応することが肝要である.
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