特集 産婦人科と生物活性物質
Endothelinと妊娠中毒症
佐藤 和雄
1
,
関 博之
2
Kazuo Satoh
1
,
Hiroyuki Seki
2
1埼玉医科大学総合医療センター産婦人科
2同愛記念病院産婦人科
pp.235-238
発行日 1989年3月10日
Published Date 1989/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207961
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妊娠中毒症の病因,病態論に関しては古来より数多くの学説が報告されてきた。その本質は胎児胎盤循環系を中心とした母体,胎児双方の循環不全状態と考えられ,その原因は妊娠によって惹起されるvolume expansionという負荷に対して,血管系が循環血液量を保ち,血圧の上昇を防ぐ恒常性維持機構が破綻したためと考えられている。現在のところ,プロスタグランディン(PG)やrenin-angiotensin-aldosterone系をはじめとする多数の循環調節因子が病因,病態形成になんらかの役割を果たしていることは衆目の一致するところである。しかし,これらの中でどの因子が妊娠中毒症発症の根本に関わっているのか,またそれらの諸因子がどのように関連して妊娠中毒症を発症させ,病態を形成してゆくのか不明な点が多い。このため近年,種々の循環調節因子による妊娠中毒症の仮説が立てられ,その立証が試みられている。
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