今月の臨床 産科と凝固異常
産科診療と凝固異常
8.HELLP症候群
水上 尚典
1
,
佐藤 郁夫
1
1自治医科大学産科婦人科
pp.314-316
発行日 1998年3月10日
Published Date 1998/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903205
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HELLP症候群はけっして稀な疾患ではない.その診断には血液検査が必須であって,血液検査が行われなければ診断は成立しない.日常,正常分娩と考えて取り扱っている症例中にもHELLP症候群が存在する可能性がある.軽症例であれば,低下していた血小板数ならびにGOT高値も分娩後急速に正常化するので,タイミングよく検査が行われなければその異常に気づかれない.
ではどのような症例がHELLP症候群として報告されているのであろうか?共通項は“何がしかの異常(上腹部痛,全身けん怠感,妊娠中毒症など)があって血液検査をしたところHELLP症候群であった”というものであろう.先行妊娠中毒症が存在する場合はむしろ幸運で,早期のHELLP症候群が発見される可能性がある.しかし上腹部痛や全身けん怠感などで気づかれる場合はすでに重症となっている可能性がある.重症例ではDIC,多臓器不全となり救命が困難であるような症例も存在する.
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