今月の臨床 産科と凝固異常
Overview
1.産科診療における凝固異常の現況
寺尾 俊彦
1
1浜松医科大学医学部産婦人科
pp.254-263
発行日 1998年3月10日
Published Date 1998/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903193
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生理的な出血を伴う分娩には,それに適応した生理的な血液凝固機構が作用している.妊娠時には妊娠に適応した血液凝固機構が作用して,出血死することなく無事分娩を終了させる合目的的な働きがある.しかし,これがときに病的過凝固状態となり血管内凝固症候群(DIC)を引き起こしたり,血栓症の原因ともなる.
また,血液凝固機構は単に出血を止めるだけではなく,生殖現象そのものに深くかかわっている.血液凝固因子は止血因子であると同時に接着因子であり,着床,胎盤と子宮との接着による妊娠維持に作用しているからである.したがって,ある種の凝固因子が先天性に欠損している場合には必ず流産してしまう.
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