今月の臨床 先天異常をどう診るか
新しい検査法
5.トリプルマーカーの使い方
名取 道也
1
1国立大蔵病院臨床研究部
pp.58-60
発行日 1998年1月10日
Published Date 1998/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903143
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妊娠しているおなかの赤ちゃんに異常があるかどうかは,妊婦やその夫,家族はもちろんのこと担当する医師にとっても大変気がかりな問題である.このための方法は,以前は放射線の単純写真,羊水造影などが唯一の手段であったが,超音波断層法の発達,さらにはMRI,またここに述べる母体血清中の物質の分析などにより大きな進歩を遂げてきた.この間,胎児の異常の診断を行うことしかできなかった時代から,まだ不十分とはいえ,胎児を患者として治療できる時代になってきたことは,さらに重要な進歩である.
胎児異常の診断に限ったことではないが,一般に診断行為はスクリーニング検査と精密あるいは確定診断と呼ばれる検査の2種類に分けることができる.超音波断層検査はこれら両方の場合に用いられる手法であり,トリプルマーカー検査はスクリーニング検査として行われる.現在,トリプルマーカー検査により得られる情報には,21トリソミーや18トリソミーなどの染色体異常,神経管欠損,腹壁欠損などの疾患の罹患危険率に加えて,周産期ハイリスク群としてのスクリーニングなどがあるが,ここではトリプルマーカー検査による21トリソミーのスクリーニングに限って話を進めたい.
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