今月の臨床 先天異常をどう診るか
新しい検査法
2.遺伝子解析法の実際と適応
片山 進
1
1東邦大学医学部第1産婦人科
pp.46-48
発行日 1998年1月10日
Published Date 1998/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903140
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先天異常と遺伝子解析
先天異常は正常の範囲を超えた発生の歪みで,生まれる前にその出現があらかじめ決定されている.配偶子の受精からその個体の死に至るまでの全過程にあらわれる不可逆的で継続的な発生異常といえる.出生前では胎児期の死亡や発育遅延(IUGR),出生後では先天奇形,発育遅延,機能や知能障害などがある.また不妊症などの生殖障害や免疫低下による罹病性,さらには腫瘍の発生や短命まで,先天異常に含まれる対象疾患は広い.
その先天異常はふつう発生時期により分類される.在胎週数0週の性細胞期にはいわゆる遺伝子病が発生する.同じく配偶子形成期には染色体異常として知られる配偶子病が発生する.在胎週数3〜10週の胎芽期には多くの先天奇形や胎内死亡,先天性腫瘍や発育障害などの胎芽病が発生する.11〜38週の胎児期には中枢神経の発育異常,性器発育異常,内反足・股関節脱臼などの四肢の変形や胎児感染症を含む胎児病が発生する.
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