今月の臨床 IUGR診療
新しい胎児診療の試み
21.遺伝子診断
片山 進
1
1東邦大学医学部第1産婦人科
pp.316-317
発行日 1994年3月10日
Published Date 1994/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901653
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IUGRと遺伝性疾患
IUGRの成因の40%には遺伝的因子が関与し,その遺伝的因子の約50%は胎児の,残り50%は母体の遺伝的因子と推定されている1).したがってIUGRの原因として胎児や母体の染色体異常や遺伝子病などの遺伝性疾患は重要と考えられる.その遺伝性疾患は発生時期により分類される.在胎週数0週の配偶子形成期には配偶子病として知られる染色体異常が発生する.染色体異常を伴う胎児にはIUGRが高率(約40%)に発生する.染色体異常の平均出生体重を正常児のそれと比較するともっとも発生頻度の多い21トリソミーの平均体重は正常胎児の80から90%とされIUGR発生率は約3分の1とされる.また13トリソミーの平均体重は正常胎児の80%でIUGRは50%に,最も平均体重が少ない18トリソミーでは正常胎児の体重のわずか62%でIUGRは84%にも発生する1).性染色体異常のターナー症候群では平均体重は正常胎児の84%で,性染色体異常ではX染色体がふえると体重が減る傾向がある.さらに部分的欠失をともなった胎児やトリプロイディ(3倍体)で生まれた児では,より重症のIUGRが発生する2).
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