トピックス
結核遺伝子検査の適応
山岸 文雄
1
1国立療養所千葉東病院
pp.872-874
発行日 1996年9月1日
Published Date 1996/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902884
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はじめに
感染症における起炎微生物の検出同定には,①病原微生物の分離同定,②病原微生物の抗原の証明,③病原微生物に対する血清中抗体の証明の3つの方法がある.病原微生物の分離同定は最も確実な方法であるが,結核菌は分裂速度が極めて遅く,その分離同定には4〜8週間が必要である.また血清中抗体の証明も,結核菌では抗cord factor抗体が検討されているが,現時点では活動性結核か否かの確実な診断法とはいいがたい.肺結核症で,喀痰塗抹陽性の場合はまだしも,塗抹陰性の場合には結核症が疑われても治療方針の決定が遅れる場合もあり,迅速で感度の良好な検査法の開発が望まれていた.
そこで最近,新しい免疫学的方法で病原微生物の抗原を証明する方法が試みられるようになった.その結果,結核遺伝子検査が可能となり,また健康保険適用ともなった.しかし,臨床医の間では,その解釈の仕方,検査の適応について混乱があり,一定の見解が必要となっている.
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