トピックス 耳鼻咽喉科・頭頸部外科と遺伝子解析
1.遺伝子解析
喜多村 健
1
1東京医科歯科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.339-344
発行日 2001年5月20日
Published Date 2001/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902363
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はじめに
ヒトゲノムの約30億塩基対の全塩基配列がほぼ決定された1,2)。しかし,ゲノムDNAの全塩基配列が判明しても,シークエンスデータは,単にA (アデニン),T (チミン),G (グアニン),C (シトシン)の4文字の並びだけであり,その中に含まれる意味を知る必要がある。すなわち,遺伝子を見つける必要がある。たとえ,遺伝子が同定されても,これらの遺伝子機能がすぐ判明したことにはならない。当該遺伝子産物の機能解析によって初めて,遺伝子機能の推測が可能となるに過ぎないのが現状である。そのためには,マウスなどの実験動物モデルでの遺伝子解析なども必要となってくる。
以上,ヒトゲノムの解明が完成したにはほど遠いのであるが,耳鼻咽喉科領域の疾患の診断,治療においても,遺伝子の概念を含んだ診療行為が必須となりつつある点には疑問の余地はない。
本稿では一般的な遺伝子解析について概説する。
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