今月の臨床 羊水
羊水の生物学
6.羊水細胞による遺伝子解析
片山 進
1
1東邦大学医学部第1産婦人科
pp.1258-1260
発行日 1998年10月10日
Published Date 1998/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903420
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
先天異常と遺伝子病
遺伝子病は先天異常の一つである.その先天異常は正常の範囲をこえた発生の歪みと定義される.先天異常は配偶子の受精からその個体の死に至るまでの全過程にあらわれる不可逆的で継続的な発生異常といえる.具体的には出生前の胎児期の死亡や発育遅延(IUGR),出生後では先天奇形,発育遅延,機能や知能障害など先天異常に含まれる対象疾患は非常に広い.
先天異常は,一般的に発生時期により分類される.在胎週数0週の性細胞期に発生するのが遺伝子病である.同じく配偶子形成期には染色体異常も発生する.在胎週数3〜10週の胎芽期には多くの先天奇形や発育障害などが発生する.11〜38週の胎児期には胎児感染症を含む胎児病が発生する.このなかでおもに性細胞期に発生する遺伝子病による先天異常が遺伝子診断の対象となる.
Copyright © 1998, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.