原著
当院における卵巣出血23例の検討
藤井 義広
1,2
,
稲垣 昇
1
,
金田 佳史
1
,
豊島 究
1
,
伊藤 仁彦
1
,
西野 るり子
1
,
北井 啓勝
1
1社会保険埼玉中央病院産婦人科
2慶應義塾大学医学部産婦人科
pp.1351-1354
発行日 1997年12月10日
Published Date 1997/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903127
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1984(昭和59)年から1995(平成7)年までの12年間において当院で開腹手術にて確定診断した卵巣出血は23例であった.これらの症例において年齢・妊娠歴・月経周期,罹患側,誘因などを詳細に検討し以下の知見を得た.症例の74%(17/23)が19〜30歳までに集中していた.月経周期については規則的な患者が78%(18/23)を占めており,最終月経から発症までの日数については平均24.8日であり,比較的黄体期と考えられる時期に発症している可能性が高いと考えられた.罹患側については右卵巣に発症するものが多く,とくに性交渉が誘因と考えられたものだけでは右側が67%(8/12)を占めていた.
1988(昭和63)年までの症例においては妊娠を合併したものが58%(7/12)と多く,そのうち内診が誘因と考えられたものが3例もあったが,1989(平成元)年から1995年までの症例では妊娠合併症例は18%(2/11)とかなり減少し,そのなかで内診が誘因と考えられるものは1例もなく,超音波検査の診断精度が格段に向上した結果と考えられた.
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