症例
妊娠後期に発症し高ナトリウム血症を伴った一過性尿崩症の1例
小武 海成之
1
,
山内 潤
1
,
伊藤 仁彦
1
,
西野 るり子
1
,
北井 啓勝
1
,
青木 淳一
1
,
金子 宜淳
1
Shigeyuki Komukai
1
1社会保険埼玉中央病院産婦人科
pp.433-436
発行日 1993年4月10日
Published Date 1993/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901253
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尿崩症を合併した妊娠は40,000〜80,000妊娠例に1例ときわめて少ない。われわれは最近,妊娠後期に発症し,著明な高ナトリウム血症を呈した一過性尿崩症の1例を経験した。
患者は28歳,0妊0経の妊婦で,妊娠31週より著明な体重減少および口渇を認め,IUGRのため近医より紹介された。入院時,著明な脱水,高ナトリウム症(169mEq/l)を認めた。血漿浸透圧が高値であるにもかかわらず,尿浸透圧は低く,上昇しているはずのADHも低値であった。胎児にはIUGR,羊水過少が認められ,胎児仮死が出現したため,帝王切開を施行した。以後,輸液による治療を行ったところ,脱水症状ならびに高ナトリウム血症は改善した。術後,内分泌学的検索を行ったが,異常は認められなかった。
以上により妊娠中に発症した一過性尿崩症と診断された。
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