症例
小腸への浸潤のみられた子宮原発の類上皮平滑筋腫瘍の1例
西村 弘
1
,
川崎 憲欣
1
,
片渕 秀隆
2
,
岡村 均
2
1社会保険下関厚生病院産婦人科
2熊本大学医学部産科婦人科
pp.999-1003
発行日 1997年9月10日
Published Date 1997/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903043
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類上皮平滑筋腫(epithelioid leiomyoma)は,子宮において平滑筋腫の変異型に分類され,その良・悪性の判断基準はいまだ議論のあるところである.今回筆者らは子宮原発の類上皮平滑筋腫が空腸に浸潤した症例を経験したので報告する.症例は42歳の未妊婦人で,子宮由来の悪性腫瘍を疑い開腹手術を施行した.開腹時,子宮体部後壁より発生した暗赤色の脆弱な腫瘤が腸間膜を貫いて発育し,さらに空腸への浸潤も認めた.腸管の一部を含めた腫瘤摘出術後の病理組織学的診断にて,その腫瘍細胞の特徴や配列,さらにデスミン,サイトケラチンによる免疫組織化学的染色により,子宮体部より発生した類上皮平滑筋腫と診断した.しかし空腸への浸潤巣では細胞異型を伴い,核分裂数も増加し,さらに出血・壊死巣もみられたため肉腫に準じて化学療法を施行し,術後3年近くを経過しているが再発の徴候はみられていない.
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