症例
子宮全摘後に後腹膜に再発を繰り返した悪性度不明な子宮平滑筋腫瘍の1例
山本 文子
1
,
山本 直
1
,
高木 みか
1
,
西村 弘
1
,
柳田 恵理子
2
,
村山 寿彦
2
1国立病院機構熊本医療センター産婦人科
2国立病院機構熊本医療センター病理診断科
pp.1035-1040
発行日 2022年10月10日
Published Date 2022/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409210804
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▶要旨
症例は84歳.63歳時に子宮筋腫の診断にて腟式子宮全摘術,79歳時にも開腹で子宮筋腫摘出術が施行されていた.今回,骨盤内腫瘤にて紹介となり,摘出術を施行したところ,後腹膜から発生した腫瘍であり,当初mitotically active leiomyomaと考えたが,臨床経過と病理組織像の再検討により,悪性度不明な子宮平滑筋腫瘍(uterine smooth muscle tumor of uncertain malignant potential : STUMP)と診断した.また,今回の腫瘍がSTUMPと診断されたことで,79歳時の腫瘍もSTUMPの範疇に入ると考えられた.今回,79歳時の画像や病理組織像も検討することで,STUMPを経時的に追跡することができた.
STUMPは,平滑筋腫と平滑筋肉腫の間にあるさまざまに異なる生物学的特性を示す腫瘍の集合体であるが,症例数が少なく,病理診断も容易ではない.病理診断医への十分な臨床情報の提供が不可欠であり,臨床病理学的に総合的に判断することが重要である.病態や臨床像も多様で不明な点が多いが,1例1例の症例の積み重ねによって徐々に解明されていくことが期待される.
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