今月の臨床 婦人科における検査法—有用性と再評価
腫瘍
2.CT, MRIで卵巣腫瘍の良性,悪性がどこまで推定できるか
富樫 かおり
1
,
森 崇英
2
1京都大学医学部附属病院放射線部
2京都大学医学部附属病院婦人科産科
pp.940-942
発行日 1997年9月10日
Published Date 1997/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903026
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卵巣腫瘍の画像診断としては,超音波,CT,MRIが主として用いられている.もちろん個々の装置の性能には大きな差があるため優劣について画一的に論じられない面もあるが,超音波検査に次いで質的診断を目的として行う検査はCTでなく,MRIであろう.CT一断面あたりの被曝量は,他のX線写真1枚とほぼ同じで安易に検査を施行することは望ましくない.CTは脂肪と石灰化の特定に優れこれらの有無が診断の決め手となる類皮嚢胞腫については優れた診断能を示し得るが,MRIでも類皮嚢胞腫に関してほぼ同様に優れた結果を得ることが可能である。MRIは非侵襲的であり,良性疾患や生殖可能年齢女性の検索にも適する.このためMRIの普及した現時点ではCTの婦人科領域における適応はかぎられたものとならざるを得ない.MRIは組織コントラストに優れ,脂肪以外に血液やコラーゲンを含む腫瘤について組織特異的診断を可能とする利点がある.超音波とMRIをうまく組み合わせ総合的な診断を行うことで,卵巣腫瘍中のかなりのものにおいて術前に良・悪性を推定することができる.
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