症例
妊娠37週に急性発症した糖尿病性ケトアシドーシスの1例
大田 俊一郎
1
,
本田 志寿恵
1
,
林 龍之介
1
,
藤吉 啓造
1
,
石松 順嗣
1
,
綱脇 現
1
1熊本市立熊本市民病院産婦人科
pp.673-676
発行日 1997年6月10日
Published Date 1997/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902965
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妊娠中期の妊娠糖尿病スクリーニング法として,50gGCTはその有用性が認められている.今回筆者らは,妊娠中期の50gGCTにて陰性であったが,妊娠37週に急性発症した糖尿病性ケトアシドーシスを経験したので報告する.症例は23歳で妊娠・分娩歴は,経妊0,経産0であった.妊娠22週に行った50gGCTでは耐糖能は正常であった.妊娠37週5日に体重の減少と全身倦怠感を主訴に来院,胎児心拍モニタリングで胎児仮死が認められたため緊急帝王切開を行った.児は体重1,940gの男児で,臍帯血検査ではアシドーシスと高血糖が認められた.母親の術前の血糖は516mg/dl,BE−18.6mm/l,尿ケトン体3+で糖尿病性ケトアシドーシスと診断しインスリン療法を開始した.手術後の検査でIDDMと診断した.児は生後121日目に死亡した.手術後1年経過しているが,現在も高血糖とHbA1cの高値は持続しインスリン療法を継続中である.
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