症例
高齢婦人にみられた陰唇癒着症の1例
伊藤 誠
1
,
田中 信之
1
,
石川 順子
1
,
釜付 弘志
1
,
千原 啓
1
,
保條 朝郎
1
,
戸澤 啓一
2
1聖霊病院産婦人科
2聖霊病院泌尿器科
pp.677-680
発行日 1997年6月10日
Published Date 1997/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902966
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陰唇癒着症は,一般に低エストロゲン状態で脆弱化した外陰部に炎症や感染あるいは外傷などが加わって発生すると考えられる後天性の疾患で,乳幼児期に発見されることが多く,成人での報告例は比較的少ない.今回,筆者らは高齢婦人に発生した陰唇癒着症の1例を経験したので報告する.
症例は80歳の3回経産婦で,閉経は50歳.1996年6月18日排尿時痛を主訴として当科を受診した.左右の大陰唇が全長にわたって正中で癒着しており,ほぼ中央に小孔を認めるものの外尿道口,腟はまったく観察できなかった.7月2日,静脈麻酔下に中央の小孔よりモスキート鉗子および小筋鉤により鈍的に剥離し,外尿道口,腟,子宮腟部を確認した.術後は抗生剤の投与と局所にはエストロゲン含有軟膏とベタメタゾン・ゲンタマイシン軟膏の塗布および腟洗浄にクロマイ腟錠とエストリール腟錠を使用,術後9か月現在,再癒着は認めていない.
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