症例
妊娠30週に糖尿病性ケトアシドーシスを発症した急性発症1型糖尿病の1例
武蔵 実久
1
,
佐藤 孝洋
1
,
藤本 久美子
1
,
片平 敦子
1
,
舩山 由有子
1
1坂総合病院産婦人科
pp.388-392
発行日 2022年4月10日
Published Date 2022/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409210622
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▶要約
症例は29歳,2経妊1経産,前回妊娠時の耐糖能異常なし.妊娠30週0日より感冒症状あり,妊娠30週6日に頭痛と嘔気があり外来受診し,血糖413mg/dL,尿ケトン体4+,動脈血液ガスpH 7.104を認め,糖尿病性ケトアシドーシス(diabetic ketoacidosis : DKA)の診断となった.HbA1c 5.7%で,劇症1型糖尿病を疑い,補液,持続インスリン療法を行い,入院同日中には血糖値200mg/dLに安定した.胎児超音波検査では推定体重は標準範囲で羊水過多は認めなかったが,入院時の胎児心拍数陣痛図で基線細変動の減少を認め,アシドーシスの改善とともに基線細変動は正常範囲となり一過性頻脈も認められるようになった.精査の結果,劇症1型糖尿病の診断には至らなかったが,類似の経過で発症した急性発症の1型糖尿病と診断し,インスリン療法を継続し,妊娠32週1日に退院した.妊娠38週3日より誘発分娩を行い,3,254gで正常分娩に至った.妊娠中に頭痛,嘔気などの症状を認めた場合にはDKAの可能性も念頭に置くことが重要である.
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