連載 産婦人科クリニカルテクニツク
ワンポイントレッスン—私のノウハウ
広汎性子宮全摘出術における膀胱子宮靱帯前層処理
小林 八郎
1
,
井上 欣也
1
1北野病院産婦人科
pp.207
発行日 1997年2月10日
Published Date 1997/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902845
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広汎性子宮全摘出術のポイントは,組織間の解剖学的関係を明瞭にし,組織に緊張を与え,いかに上手に組織間に割って入るかである.膀胱子宮靱帯前層の処理は,膀胱を十分に下方へ圧排し,膀胱子宮靱帯前層を露出し,尿管は尿管外膜を残した状態で尿管トンネル入口部まで露出することから始まる.膀胱子宮靱帯前層処理時の出血の原因は尿管トンネルを破り膀胱子宮靱帯内に進入して静脈を損傷することによる.また尿管腟瘻の原因は,尿管トンネル内へ剪刀を挿入するときに尿管を巻き込み尿管外膜を損傷したり,尿管外膜と膀胱子宮靱帯前層の剥離が不十分なために膀胱子宮靱帯前層を切開・結紮するときに尿管外膜を巻き込み尿管を絞り込むかたちになり,尿管の循環障害をきたすことによる.
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