今月の臨床 不妊治療—ここが聞きたい
体外受精
4.男性不妊症の精液所見と選択すべきARTのメドは?
福田 勝
1
1福田ウイメンズクリニック
pp.1478-1479
発行日 1996年11月10日
Published Date 1996/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902752
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従来から男性不妊症の診断は精液検査法で行われている.WHOによる正常精液所見(表)を評価の基準にするのが一般的である.精子濃度が20×106/ml未満のものを乏精子症,精子運動率が50%未満のものを精子無力症,形態正常精子が50%未満のものを奇形精子症と判断する,精液所見がたとえ正常であってもなかなか妊娠しないことや,精液所見が基準以下であっても自然妊娠することはよく経験され,精液検査の結果だけで男性因子を評価するのは難しく,ハムスターテストなどの精子機能検査を併用するのが理想である.しかし本稿ではあえて一般精液検査による精液所見により選択すべきART (assisted reproduc—tive technology)について考察する.
図は筆者の成績と文献によりまとめたものである.精液所見とAIH(artificial insemination withhusband�s semen,配偶者間人工授精)妊娠率の成績1)より,精子濃度が5×106/ml未満になると妊娠率が極端に低くなる.精子運動率が30%未満では妊娠例がほとんど認められなくなることより,精子濃度が5×106/mlの場合,精子運動率が30%未満の場合はIVF-ET(in vitro fertilization andembryo transfer,体外受精—胚移植法)を選択したほうがよい.
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