今月の臨床 不妊治療—ここが聞きたい
子宮内膜症
3.子宮内膜症に対するGnRHアゴニストとダナゾールの使い分けは?
斎藤 理恵
1
,
岩下 光利
1
1東京女子医科大学産婦人科
pp.1401
発行日 1996年11月10日
Published Date 1996/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902724
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子宮内膜症の薬物療法に用いられているダナゾールとGnRHアゴニストの治療成績と効果に関しては多くの報告があるが,優劣つけがたいのが現状である.したがって投与を考える場合はその作用機序と副作用の違いから薬剤を選択するのが妥当と思われる(表).
GnRHアゴニストは,天然のGnRHの50倍以上高い受容体への親和性を持ち,GnRH受容体のdown regulationを起こし,下垂体からのゴナドトロピンの分泌を低下させる.その中枢作用により卵巣からのエストロゲン分泌を抑制し,子宮内膜症組織を萎縮させる.ダナゾールの作用機序は多岐にわたっており,中枢性のLHサージの抑制や卵巣でのステロイド産生の抑制,子宮内膜症組織の増殖に対する直接抑制作用などさまざまである.また,子宮内膜症の発生機序には免疫異常の関与も示唆されているが,ダナゾールは子宮内膜症にみられる免疫異常を改善することも報告されている.
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