今月の臨床 婦人科腫瘍境界悪性—最近の知見と取り扱いの実際
取り扱い方針について
4-1.外陰境界悪性病変—前癌病変自然史の把握
中島 久良
1
1長崎大学医学部産婦人科
pp.1050-1053
発行日 1996年8月10日
Published Date 1996/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902628
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外陰の“確かな前癌病変(ほとんどの例で癌の発生が起こると考えられる病変)”は明らかではないが,これまで外陰白斑症leukoplakia vulvae,外陰萎縮症kraurosis vulvae,硬化性苔癬lichensclerosus,さらにはそれらの病変を一括した外陰ジストロフィーvulvar dystrophyなどが“いわゆる前癌病変(癌の発生する確率が比較的高い病変)”として扱われてきた1).しかし近年,それらのなかには癌化との関連性に乏しい非腫瘍性病変が少なからず含まれていること,そして癌の発生にかかわるのはおもに細胞異型を伴う病変であることなどがわかってきた.こうした知見の集積に伴い,国際的にも新たな外陰疾患の分類が示された2-4).
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