今月の臨床 今日の癌検診
外陰癌
25.外陰の前癌病変とその取扱い
山邊 徹
1
Tooru Yamabe
1
1長崎大学医学部産科婦人科学教室
pp.708-709
発行日 1991年6月10日
Published Date 1991/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900459
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外陰のいわゆる前癌病変として,かつて共通的に取り上げられていたのは,白斑症ないし異形成,Bowen病,表皮内癌およびPaget病であり,そのほか硬化性萎縮性苔癬,外陰萎縮症や尖圭コンジローマについても論じられてきた。しかしながら,実際のfollow-up studyでは,白斑症の長期間の観察でも癌進展例は5%以下とされ,しかも異形成を伴う例のみが注意を要するというのが今日における一致した見解である。過去において硬化性萎縮性苔癬や外陰萎縮症からの癌化とされた例も,後述の異形成を伴う混合型ジストロフィーであったとみなされる。また尖圭コンジローマについては,発生要因であるHPV(ヒトパピローマ・ウイルス)の型からみて,初期の疣状癌と混同されていたためと考えられる。
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