今月の臨床 妊娠と自己免疫疾患
自己免疫疾患をもつ妊婦の管理
10.抗リン脂質抗体
青木 耕治
1
1名古屋市立大学医学部産婦人科
pp.800-802
発行日 1996年6月10日
Published Date 1996/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902568
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自己免疫疾患のなかでもとくにSLE,MCTDあるいはITPなどを合併した妊娠においては,抗リン脂質抗体を必ず測定すべきである.以前より,SLE合併妊娠には,流産・死産が多いことが報告されていたが,1980年代中頃より,この流産・死産と自己抗体としての抗リン脂質抗体との密接な関係が明らかにされてきたからである.抗カルジオリピン抗体(抗CL抗体),ループスアンチコアグラント(LAC),梅毒血清反応の生物学的偽陽性を示す抗体などが,いわゆる「抗リン脂質抗体」である.
抗リン脂質抗体は流産・死産以外にも血栓症,血小板減少症などの一部によく検出されており,1986年にこれらを一括して『抗リン脂質抗体症候群』とすることが提唱された.また最近,SLE患者の場合を『続発性抗リン脂質抗体症候群』として,その他の原発性と区別することが提唱されている1).
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