特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集
免疫学的検査
自己免疫関連検査
抗リン脂質抗体
松田 重三
1
1帝京短期大学ライフケア学科
pp.470-471
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104871
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
抗リン脂質抗体(antiphospholipid antibody:aPL)は,生体の細胞・組織成分のカルジオリピンやフォスファチジルセリンなどのリン脂質に対する自己抗体である.しかし,近年,必ずしもリン脂質とは関連のない血漿蛋白などの生体成分に対する抗体も少なからず同定されており,aPLの呼称が適切かの問題も残る.
aPLは従来,梅毒感染症の診断(serological test for syphilis:STS)に使用される抗カルジオリピン抗体として知られていたが,STSで検出される抗体は,血栓症の原因とはならないこと,血栓症の誘因となるaPLは,カルジオリピンとアポリポ蛋白の一種であるβ2-glycoprotein I(β2-GPI)との複合体,あるいはβ2-GPIそのものに対する抗体であると判明した.したがって,aPLとは,広義にはSTSで検出される抗カルジオリピン抗体を含めるが,狭義には血栓症を惹起する原因となるβ2-GPIに対する抗体(抗β2-GPI抗体)であり,以下,狭義のaPLを中心に述べる.
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