今月の臨床 IUGR診療
IUGRの病因
5.抗リン脂質抗体症候群とIUGR
青木 耕治
1
1名古屋市立大学医学部産科婦人科
pp.265-267
発行日 1994年3月10日
Published Date 1994/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901637
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抗リン脂質抗体症候群とは,1987年にHarrisにより提唱された疾患概念である.近年,いわゆる抗リン脂質抗体のひとつである抗カルジオリピン抗体やループスアンチコアグラント陽性者に血栓症,反復流産・死産,あるいは血小板減少症などの特徴的な臨床所見が見いだされており,これらを一括して抗リン脂質抗体症候群としたわけである.表1のその診断基準は,あくまでも内科医としてのHarrisにより提案されたひとつの案であり,われわれ産婦人科医としては,1988年Glei—cherらにより提唱された『RAFS;ReproductiveAutoimmune Failure Syndrome』という疾患概念にも注目すべきであると思われる.彼らは,とくに自己抗体としての抗リン脂質抗体と,その一連の影響によると思われる反復流産・死産,妊娠中毒症,IUGRなどとの密接な関係を示唆している.
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