今月の臨床 習慣流産をとめる
病因を探る
3.内分泌異常
丸尾 猛
1
,
武木田 茂樹
1
1神戸大学医学部産婦人科
pp.642-644
発行日 1996年5月10日
Published Date 1996/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902530
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習慣流産と内分泌異常のかかわりは,甲状腺機能異常が認められる場合,高い流産率を示すことが知られている.甲状腺機能異常のある婦人にはしばしば排卵障害がみられ,また排卵をみても黄体機能不全を伴うことが多く,妊娠が成立しても妊娠初期に高い流産率を示す.臨床的報告では,甲状腺機能異常合併の流産率は,甲状腺機能亢進合併の場合が26%,甲状腺機能低下合併の場合が21%であり,甲状腺機能正常妊婦での流産率13%と比較して明らかに高い1-3).
一方.糖尿病とのかかわりでは,Miodovnikらがインスリン依存性糖尿病合併妊婦の流産率は,正常妊婦に比して高いと報告している4).Babillらは,コントロール不良の糖尿病合併妊婦の流産率は正常妊婦と比較して差を認めなかったと報告している5).妊娠初期に糖尿病コントロールが不良の場合,胎児奇形の発生率が高くなることは明らかとなっているが.糖尿病と流産の関連性については一定の見解は得られていない.
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